私は野鳥を通じて数多くの人達と触れ合い、『鳥』談義で大好きな酒を酌み交わし、盛り上がり、遠い昔のことを想い、またさらに一杯を重ねます。
私は、宮城県北部の半農半漁の小さな町に育ちました。
もうすでに他界した父親は、厳格な大工職人で、母親は教師の道を志すも病弱の為に断念して、兄弟４人の家族を支えてもらいました。
子供時代は豊かな生活とは程遠いものでしたが、田舎の地区全体が同じ様な状態で、あまり気にも留めずに育った気がします。
自然豊かなこの町で、毎日の様に握り飯を作って貰って、近くの河原で（孟宗竹の小枝を落としただけの自前の竿釣を作り）釣り三昧の楽しい日々でした。
家に帰るのが遅くなり、家族にはだいぶ心配を掛けた事も有りましたが・・・

釣り糸を垂らしてワクワクしたもう一つの楽しみが『カワセミ』との出会いでした。小船を係留している杭に、何時も川面すれすれに飛行し、立ち止まってくれるコバルトブルーの鮮やかさ！！一瞬目を奪われてしまう程美しく、その姿が６０才になるまで野鳥好きにさせてくれたのだと思います。
野鳥の思い出は他にも沢山残っています。

• 冬の終わりを待ちきれず、木の天辺で'ツッピー、ツッピー'と盛んに鳴く『シジュウカラ』
• 澄みきった青い空の上で囀り続ける『ヒバリ』
• 初夏の渡り鳥で、早めに山あいから'ポポーンポンポン'の『ツツドリ』
• 釣のあいだ、昼食の時間も無いほど忙しくせわしく'ギョギョシーギョギョ'の『オオヨシキリ』
• 釣の釣果を覗きに来て、愛嬌を良く振りまいてくれる『キセキレイ』
  (スリムで優雅な鳥、時々尾を振ってくれるので許してやっていました)
• 晩秋の暁の空一面にV字飛行で塒(トヤ)に向う雁(ガン)の群れ、感動はつきませんでした。

まだまだ話しつくせないですが、又次の機会にという事に致します。
尚、僭越ではありますが私は、亡き恩師田中先生の『野鳥は空に、花は野に、自然のままに愛しましょう』の詩が今でも深く心に残っております。
どうもありがとうございました。