『<低感染リスク型ビジネス枠>小規模事業者持続化補助金』を当てにした設備投資やWEBやリフォームの営業に要注意!

最大100万円の補助金が出ますよ!という甘い誘い文句には気をつけて!

ここ数ヶ月、会社や事業所あてに、リフォーム会社やウェブサイト制作会社やビジネス備品を売るベンダーやサプライヤー企業から、補助金をネタとする電話営業や、FAXチラシなど入るようになりました。

内容は、「小規模事業者持続化補助金をご存知ですか?」「100万円分の補助が期待できるので、(例)50万円の自己負担で150万円分の設備投資をしませんか?」「新しいウェブサイト、事務所内の仕切りなどのリフォーム、パソコンなどのIT機器のセットです」といった企画が多いようです。

でもちょっと待って下さい!…それ、本当じゃないかもしれません。

当社も申請の検討中ですが、色々と設定された条件をクリア出来るかどうかが問題です。

以前に無条件で支給された「持続化補助金」とは違い、今度のは条件が厳しい!

以前に、すべての企業と個人事業主にほぼ無条件で支給された「持続化補助金」とは、名前こそ似ていますが、今回のこの補助金は、厳しい採択条件と有識者による審査があります。少なくとも、「出せば通る」という性格のものではありません。

上記で述べた業者のFAXチラシなどを見ても、「自己負担は○○円だけです!(…ただし補助金が下りた場合)」といった具合に、補助金が下りたときだけだよ、と、小さく注意書きが書かれていたりしますし、電話営業の業者に至っては、記録に残らないと思ってそういった説明も口頭ではせず、最終的な契約書にだけ小さく書いてある、といった姑息な方法が取られているケースもあるようです。

最終的に「補助金は下りませんでした」「でも施工費は払って下さい」となる可能性が大

景気の良い営業トークやチラシに乗せられてしまうと、後が怖いです。体裁の整った契約書を交わし、一応は価値のある設備などを提供されてしまった後では、たとえ補助金が下りなかったとしても、その分の差額を相手業者に請求したとしても全く応じないと思われます。最初からそのつもりで契約書の文面などが用意がされているわけですから、終わったあとでどう強く抗議しようと、発注側が不利な立場に置かれてしまいます。

契約書を交わす前に、よく「<低感染リスク型ビジネス枠>小規模事業者持続化補助金」を知った上で、判断するべきかと思います。

公式の応募要項、注意文をよくよく確認して下さい。大きな3つのポイント

1,新しい取り組み、新規事業が対象(既存のサービスをネットで宣伝する程度ではダメ)

以下は、補助金の公式のウェブサイトに記載されている、補助金の対象となった新規事業の例です。要するに、それまでやっていなかった新しいビジネスが対象です。ただ仕切りなどの設備を作っただけ、普段の業務の宣伝用ウェブサイトを作っただけでは、補助金の対象になる可能性は、かなり低いと思われます。

・キッチンカー導入による地元食材を使ったカレーのテイクアウト販売
・地場野菜・銘菓が買える看板型自動販売機による非対面販売事業
・非対面型セルフチェックインシステム導入による旅館業の低感染経営
・新規事業としてのオンライン美容カウンセリングのwebシステム導入
・無観客イベントが可能なオンライン配信サイト構築
・カフェテーブル席の個室化のための店舗改装
・店内商品をネットで販売するためのECサイト構築
・自動見積りシステムと職人マッチングアプリによるオンライン受発注管理
・賃貸物件オンライン内覧用動画制作と電子契約システムの導入による非対面化
・オンライン英会話レッスン講座新設のためのwebサイト構築

…また、公募要領の「補助対象経費」の「②広報費」の欄にも、以下のような記載があります。

補助事業と関係のない製品・サービスの広告や会社の広報、営業活動に活用されるだけのものは、補助対象となりません。
・作成した広報媒体については、成果物として実績報告時に提出していただきます。

…また、「補助対象事業者」の項目にも、明記されています。

以下に該当する事業と判断された場合は不採択又は採択・交付を取り消します。
① 本公募要領に沿わない事業
② 補助対象経費の中に対人接触機会の減少に該当しない項目を含む事業
③ 新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入がなされない事業

…つまり、しっかり「新しい事業じゃないとダメだよ」「チェックするよ」と何度も繰り返し釘を刺しているわけですね。行政側として、これほどクドく説明しているよ、騙されないでね、という姿勢が垣間みられます。

2,新規事業であっても、パソコンや什器など、換金が容易な設備投資は補助金の対象にならない

上記1の条件をクリアしても、補助の対象になる品目が非常に細かく定められており、特定の用途にしか使えません。人件費にもあてられませんし、仕事場に必須と思われるパソコンや車両などですら、換金が容易で他に流用されそうだからダメ、と要項に書いてあります。

正式な応募要項はこちらから(申請資料ダウンロードページ)
・対象となる経費について、①~⑫まで細かく記載があります。
・対象とならない経費についても、(1)~(29)まで、細かく記載があります。

3,他にもチェックが入り、実績報告しだいでは返上となる場合も

要項の中で、他にもいくつかチェックが入る事が記載されています。

  • 事業計画に事業主自体が主体的に検討を行っている記載が見られない場合はダメ
  • 一定期間は継続しないとダメ、事業を中止したり設備を処分する場合は申告の義務あり
  • 事業の実績を後から報告する義務があり、その内容次第では返上

誰かの指示で、補助金をもらうだけもらって終わり、ということは許されない仕組みです。

結論・100万円の補助金を目当てにした営業電話にはご注意下さい。当社では同様の営業は行いません。

当社では、この補助金を目当てにしたリフォーム提案などは行いません。リフォームが主ではなく、新規事業の提案が必要だからです。

火災保険を使って家屋を直したり、介護保険を使ったバリアフリー工事などは行っていますが、このような筋違いかつ成果が期待できないご提案は、お客様の不利益になりますし、相手の錯誤や勘違いを狙った詐欺まがいの営業方法は、地域密着で30年やってきた企業として決して行うべきでないと考えています。